一般社団法人フルキャット・保護猫カフェ×ペット専門学校の産学連携提供:一般社団法人フルキャット

    病院では見られない、猫のくつろいだ日常。その姿に寄り添うケアを、保護猫カフェで学ぶ。仙台市で保護猫カフェ「フルキャット」を運営する一般社団法人フルキャットが、仙台総合ペット専門学校と手を組み、学生が店舗で実習を行う産学連携を始めた。

    愛玩動物看護師を目指す学生が、猫にストレスの少ないケアを身につける、全国的にも珍しい取り組みだ。

     

    病院とは違う「猫の日常」を学ぶ

    同法人によると、この取り組みは、学校法人菅原学園の仙台総合ペット専門学校の愛玩動物看護科と組んだ共同プロジェクトだ。9月17日から、店舗での実践的な出張実習の受け入れを始めた。国家資格である愛玩動物看護師を目指す学生が、動物福祉に基づくケアを、実際の保護猫カフェで学ぶ。最大の狙いは、病院に来る猫と、生活の場にいる猫の違いを知ることにある。病院では、体調不良や環境の変化でストレスを受けた猫が、普段とは異なる行動を見せる。猫の自然な姿を理解しておくことが、猫にやさしい看護の前提になる。普段の猫を知ってこそ、病院で見せる異変にも気づける。

     

    猫の縄張りで、ペースに合わせて

    実習は、猫が安心できる縄張りであるカフェに、学生が出向く形をとる。同法人によると、学生は猫のペースに合わせて、体調の管理や体重の測定、爪切りといったケアに取り組む。学内の実習室や附属の動物病院では再現しにくい、リラックスした猫に寄り添う技術を学ぶ。初日の9月17日には、カフェで過ごす猫の体調を観察し、体重を測り、個別のカルテに記録した。衛生や感染症への対策として、ガウンの着用なども徹底した。参加した学生からは、いつもと違う環境で猫にストレスを与えないよう体重を測る経験が貴重だったという声が上がった。

    初めて会う人や環境に対し、猫は警戒心を見せやすい。だからこそ、その猫がどんな性格で、どこまでの関わりを受け入れるのかを見極める力が要る。マニュアル通りではなく、一匹ごとに向き合い方を変える。カフェという生活の場は、そうした判断力を養うのに適している。

     

    「キャットフレンドリーな看護」とは

    指導にあたった学科長の鈴木真紀氏は、猫に恐怖を与えず、ストレスの少ない看護を実践できるかは、愛玩動物看護師にとって非常に重要なスキルだと説明する。来院する猫はすでに強い緊張の状態にあり、学校の実習室では本来の自然な姿を再現するのが難しかったという。猫の縄張りで、性格やストレスへの耐性に配慮したアプローチを学生自身が考える経験は、将来の現場で大きな力になるとした。そのうえで、保護猫の健康維持や、譲渡に向けた人慣れにも貢献でき、双方にとって意義の大きいプロジェクトだと述べた。学生が学び、猫が人に慣れる。一つの実習が、教育と動物福祉の両方を前に進める。

     

    譲渡促進と動物福祉の啓発へ

    フルキャットは、2026年5月に設立された非営利型の法人で、保護猫カフェの運営や、保護猫の保護・譲渡・福祉の事業などを手がけている。学生に学びの場を提供することは、猫にとっても、人に慣れる機会となる。カフェという開かれた場だからこそ成り立つ連携でもある。

    保護猫が新しい家族と出会うには、人に慣れ、健康が保たれていることが欠かせない。学生のケアは、その両方を後押しする。学ぶ側と猫、双方に利点がある関係が生まれている。学生にとっては実践の場となり、猫にとっては人と触れ合う機会となる。

    動物を飼う家庭が増え、動物医療の役割は大きくなっている。その現場を担う愛玩動物看護師に求められるのは、技術だけでなく、動物の気持ちをくみ取る姿勢でもある。生きた猫と日常の中で向き合う学びは、その土台になる。

    実習は原則として毎週火曜に、学生を4名程度のグループに分けて続けられる。同法人は、出張実習にとどまらず、保護猫の譲渡促進や動物福祉の啓発を目的とした連携を、順次広げていく方針だ。猫と学生が出会う教室が、動物福祉の裾野をどこまで広げるのかが注目される。一つの保護猫カフェから始まった試みが、他の地域の学校や施設にも広がる可能性がある。

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